星空の解放日
麦星すばる
やぎ座の力
学校で言えば、お昼休みの時間。ここは|古坂《こさか》邸。
停学処分を受けた僕、|矢追冬真《やおいとうま》は|古坂桃羽《こさかももは》ちゃんの屋敷にいる。
停学中だから学校にも行けないし、行く場所がなくて、カフェで一服していた。
そこで|桃羽《ももは》ちゃんに出会った。
そして、引っ張られるかのように屋敷まで連れてこられた。
|桃羽《ももは》ちゃんに会うのも久々だ。
本当はほのかちゃんに会いたかったけれど
学校に入ったら大変なことになるし
|湊《みなと》くんっていう子にまた出会ったら嫌だしね。
「はあ?|稲荷《いなり》ほのかに抱きついて停学処分受けた?ストーカーもしてました?ばっかじゃん。
芸術は分かっても乙女心は分からないとかサイテー。てかストーカーは犯罪だからね」
「だって、抑えきれなかったんだ」
|桃羽《ももは》ちゃんは幻滅した様子で僕を見つめる。まあ、仕方ないけど。
でも、|桃羽《ももは》ちゃんが僕を拾ってくれたのは友達だからじゃない。
星座の力が欲しいからだ。
「で?やぎ座の力はまだ残っているんだね?」
「ああ。学校を退学したり転校したわけではないから、力はまだ残っているみたい。
停学中、だからいつまで残っているか分からないけど」
僕は在学中にやぎ座の力に目覚めていて、それで|桃羽《ももは》ちゃんが声をかけてくれたんだ。
星座の力は、転校、卒業、退学・・・学校から離れると失われる。
だから僕も留学によって、星座の力が失われるんじゃないか?と思っていたけど
学校に籍があったからか、星座の力はまだ残っている。
「はぁ。|冬真《とうま》にやぎ座の力がなかったら友達のボクでも流石に距離置くよ。
あの先生の行動から学習し・・・ってキミ留学してたんだっけ。まあ停学中なら作戦くらい考えてよね」
「いいよ。どうせ暇だしほのかちゃんにビックリしてもらいたいからね。
ああ!|星天祭《せいてんさい》の夜はほのかちゃんに会える!!」
停学中の僕が学校に現れたら、ほのかちゃんはきっとびっくりするだろう。
僕にとって、ほのかちゃんに会える限られた時間。
僕は舞い上がっていた。
「ばかばか!違う!私がめりの達をコテンパンにする日。
てか本当にこっち側についていいの?めりのは|冬真《とうま》のこと好きだったようなもんじゃん」
「・・え?そうなの?」
僕はめりのちゃんにそう思われているなんて全く気づかなかった。
「そうなの?じゃないよ。あーあ。|冬真《とうま》ももったいないよね。
昔はめりのに好かれてて、めりのが写真覚えたきっかけも|冬真《とうま》なのに。
こんな風になっちゃうなんて誰が予想しただろうね」
|桃羽《ももは》ちゃんはため息を付く。
確かにめりのちゃんに写真を教えたのは僕だ。
僕の留学が近づいているとき、よく声をかけてくれたのはめりのちゃんだった。
でも、めりのちゃんは、僕がほのかちゃんに会えないまま
留学するのが嫌で落ち込んでいたなんて気づかなかっただろう。
「・・・・・・。まあ、停学中だし、ほのかちゃんやめりのちゃんには嫌われてるし、あっち側にはもう戻れないよ。
僕には居場所がない。だから|桃羽《ももは》ちゃんの指示に従う」
「それは助かるね。星座の力を持つ人が1人でもいると助かるし」
|桃羽《ももは》ちゃんは、助かる、友達と言いながら僕を信頼している様子はない。
僕は作戦を考えることと、やぎ座の力で|桃羽《ももは》ちゃんに協力するための駒にすぎない。
それでも、僕を拾ってくれたことは感謝している。
「で、作戦ってどんな風に考えればいいんだい?」
「そうだね。昼の|星天祭《せいてんさい》を邪魔するつもりはないから、あくまで夜の決戦のことだけ考えて欲しい。
精神的ダメージを与えて追い込む感じが良いと思う。
ほら、|冬真《とうま》のやぎ座の力もそんな感じじゃん?
それに|大河《たいが》もいるし、使えるものは使っていいよ」
|桃羽《ももは》ちゃんの言葉には優しさがなかった。
僕は「うん、分かった」とだけ言って、お茶を飲み干す。
ただ、気になることがあった。
「・・・|桃羽《ももは》ちゃん、僕達は争う必要はあるのかな?」
「はあ?なに言ってるの?|冬真《とうま》。めりの達とはあの時から敵対関係だ。
それに後輩が入学してから星座の力を持つ子が増えて、ボクたちは不利なんだ!
・・・ボクは、めりのをこてんぱんにしなきゃいけないんだ。ボクから色んなものを奪っためりのを!」
|桃羽《ももは》ちゃんがめりのちゃんに対して
どうしてそこまで怒りを感じているかは分からなかった。
けど、|桃羽《ももは》ちゃんとめりのちゃんは前みたいに仲良くなれないって分かった。
「・・そっか、ごめんね、変なこと聞いて。じゃあ、作戦を考えよう。
あと、ほのかちゃんに近づけるような作戦にしようっと!」
「だから、それはやめろって言ってるでしょ!!」
|桃羽《ももは》ちゃんに僕は突っ込まれる。
帰っても家にいるだけだし、残りの時間も
|桃羽《ももは》ちゃんと話し、作戦を練ることにした。