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星空の解放日 麦星すばる

出し物-文学部-

翌朝。学校では、|冬真《とうま》先輩がストーカーをしていたということで大騒ぎ。 |冬真《とうま》先輩は私達が入学する前に留学していたから 面識のある人はいないはず・・・。 なんだけど、噂話は聞いていた人がいたみたいで、話してみたかったと残念な声も。 「ほのぴ!!大丈夫!?」 「いなほちゃん!!大丈夫ですの!?」 |流星《りゅうせい》くんとくるみちゃんが、私を囲む。 詳しくは・・話さない方が・・いいよね。 っていうかなんで知ってるの!? 「そ、その情報どこから・・?わ、私は大丈夫だから」 「・・・|瀬名《せな》くんと|鈴原《すずはら》先輩に助けてもらったのでしょう? 私もお送りしましょうか?と言いましたのに。どうして頼ってくれませんの?」 「でも安心して!ほのぴ!今日は嬉しいことがあるから!」 |流星《りゅうせい》くんが目を輝かせながら、私を見て言う。 その様子を信頼ならないと冷めた目でくるみちゃんがじっと見ている。 |大河《たいが》は私のことをチラチラと見ていたけれど、私が目を向けると目を逸らしてしまった。 「|秋月《あきづき》くんが目を輝かせるときは嫌な予感がしますわ」 「だから、本当に嬉しいことですってば!今日は|星天祭《せいてんさい》の出し物を・・」 ―キーンコーンカーンコーン・・・ |流星《りゅうせい》くんが言い切る前にチャイムが鳴ってしまった。 |十蟹《とがに》先生の姿が見えると、みんなは慌てて席につく。 「おはようございます、ピース。もうその話で持ちきり、って感じですけど・・ |文学部《ぶんがくぶ》二年の|矢追冬真《やおいとうま》くんが生徒へのストーカーにより停学処分を受けました。 |矢追《やおい》くんの行動に改善が見られない場合は退学処分も視野に入れています。 この話はこれ以上広めないでね。どこで被害を受けた生徒さんがいるか分からないから、ピース」 |十蟹《とがに》先生、私を気遣って言ってくれたんだ。 被害者も私だと知っている子がほとんどだからか「はーい」といつものように返事をしてこの件は終わり。 私もあまり思い出したくないから、この話が長くならなくてよかった。 |十蟹《とがに》先生は暗くなるのが早くなっているので引き続き気をつけるようにと全体に注意をする。 「そしてですね、嬉しいお知らせがあるのです、ピース。 今から|星天祭《せいてんさい》に向けて出し物の話し合いをします。 実行委員は|七木《ななき》くんと|秋月《あきづき》くんです。さあ、ふたりとも前へ、ピース」 |大河《たいが》と|流星《りゅうせい》くんが前に立つ。 |流星《りゅうせい》くんが紙を持ちながら元気よく喋る。 「やほー、|文学部《ぶんがくぶ》1年の|星天祭《せいてんさい》実行委員は俺と|大河《たいが》になりました!」 「太鼓とかなら教えられるし屋台の準備は慣れてる」 |大河《たいが》は家でお祭りの準備をしているし、|文学部《ぶんがくぶ》は出し物として 太鼓が伝統行事になっているから、|大河《たいが》が実行委員なら頼もしいね。 「で、うちのクラスの出し物どうするよー?歴史関連の展示は決まってるけどあとひとつ!!」 うーん。|星天祭《せいてんさい》の出し物かあ。あまりイメージがわかない。 みんなは思いつくものを自由に発言している。 「個人的にはメイド喫茶がいい!!」 「それは|流星《りゅうせい》くんがメイドさん見たいだけじゃん!」 私は思わず|流星《りゅうせい》くんに突っ込んでしまった。 だってメイド喫茶って・・・。メイドさんの服を着てするあれでしょ!? 「じゃあ、ほのぴは何がいいわけ?」 「うっ・・・」 私は|流星《りゅうせい》くんに言い返されてしまう。 何もアイディアが浮かんでいなくて、言葉に詰まってしまう。 それを見ていたくるみちゃんが立ち上がる。 「こほん。メイド喫茶ですと|文学部《ぶんがくぶ》のイメージに合いませんから 和風喫茶はいかがでしょうか?衣装の方も和風のメイド服にすればイメージは損ねないはず」 「おー!!」 「流石くるみさん!!グッドアイディア過ぎます!!|大河《たいが》もそれでいいよな?」 「反対意見がなければそれでOK」 反対で手を挙げた人はいなかった。 「じゃあ男子が展示、女子が和風喫茶で決まり!」 「で!もうひとつ発表があります!なんと演劇部が行う演劇で・・・ |文学部《ぶんがくぶ》からは、ほのぴが主役として出ることになりました!! |鈴原《すずはら》パイセンの推奨で演劇部もぜひ!とのことでーす。ちなみに天文部からは|瀬名《せな》が出まーす!!」 「まあ、ほのかちゃんが演劇の主役!?最高すぎますわ!!!相手が|瀬名《せな》くん・・なのが残念ですけど」 くるみちゃんに続き、クラスのみんなが大はしゃぎする。 「主役ってすごくない?」「|鈴原《すずはら》先輩と演劇部の推薦って相当だよ!?」 「いいな、|瀬名《せな》くんとだったら舞台立ちたかった」「ほのかちゃんと舞台・・最高じゃない?」 と各々の感じたことが飛び交う。 「|古坂《こさか》、落ち着けって。あとみんなも」 |大河《たいが》が手を叩いて、全員を静かにさせる。 |星天祭《せいてんさい》の出し物も決まったし、めりの先輩が何を考えているか分からないけれど 演劇部の演劇の主役も、|湊《みなと》くんと決まったみたいだし|星天祭《せいてんさい》、頑張らなくちゃね。 他の分担も決まって、お昼。 久々に私と|大河《たいが》とくるみちゃんでお昼ごはんを食べる。 「すごいよ!くるみちゃん。パッとアイディアが浮かぶなんて。 しかも衣装はくるみちゃんがデザインも考えて衣装も発注してくれるって。それに展示物の監修・・・本当にすごいよ!」 「いなほちゃんの晴れ姿が見たくてつい・・・あと歴史は得意なので!」 「実行委員でもないのに展示物の監修、衣装制作まで悪いな、|古坂《こさか》」 「いえ、できることがありましたら言ってくださいね」 くるみちゃんはさらっと言っているけれど 衣装もデザインして発注して、展示物の監修もして本当にすごい。 これから実行委員と変わらない忙しさになりそう。 「くるみちゃんも|大河《たいが》も実行委員の打ち合わせや準備頑張ってね!」 「ほのかも|古坂《こさか》もありがとうな、ほのかも主役だなんてすごいじゃないか」 「ありがとう!放課後打ち合わせなんだ。演劇初めてだけど大丈夫かなあ?」 「いなほちゃんなら大丈夫!!本当は演劇の衣装も作りたかったのですが 演劇部の方が作るということで・・・残念ですわ」 くるみちゃんがこれ以上、忙しくなったら大変。 私は「気持ちだけでも嬉しいよ」とくるみちゃんに伝える。 くるみちゃんが喜んでくれて一安心。 でも、くるみちゃんには|大河《たいが》のこと、|湊《みなと》くんのこと、話せてない。 |大河《たいが》もくるみちゃんに話していないみたい。 黙っているのも、話すのも、怖い。 |大河《たいが》が空いている場所を見て、|流星《りゅうせい》くんがいないことに気づく。 「今日は|流星《りゅうせい》いないのな」 「|月華《つきか》先輩に会いにいくって言ってたよ」 そう、今日は珍しく、|流星《りゅうせい》くんがいない。 この間、|月華《つきか》先輩一筋なんて言ったから直接会いに行ったみたい。 |流星《りゅうせい》くんが座る場所をじっと見ていると、|大河《たいが》が私の肩をたたく。 「・・・ほのか、大丈夫なのか?」 「うん、大丈夫。ありがとう」 「ならいいけど。俺、今日から先輩たちと特訓することになったから。|星天祭《せいてんさい》に向けて」 「・・私も行ったほうがいいよね?」 「ほのかと|湊《みなと》は演劇の練習がないときだって」 |大河《たいが》の声が小さかったから、私もつられて小さな声で話す。 ただ、あまりにも長かったからか、くるみちゃんが頬を膨らませている。 「お二人共、何をコソコソ話しているんですの?私に言えないことでして?」 「あ、|大河《たいが》が大丈夫だったか?って心配してくれてたんだ、ごめんね」 「まあ、そんなところ!」 くるみちゃんが|星天祭《せいてんさい》の打ち合わせで呼ばれて階段を下りていく。 |大河《たいが》と二人きりになったところで、私は口を開く。 「ねえ、|大河《たいが》。くるみちゃんには・・・伝えたほうがいいのかな?」 「演劇の主役の組み合わせといい、もう気付いているかもしれないけどさ。 もし、伝えて|古坂《こさか》がショックでまた学校休んだらどうするんだ?」 「・・そうだよね。今は伝えないほうがいいよね」 「俺はほのかが決めた答えだから、なんとも思ってない。 ただ|古坂《こさか》はほのかのことになると暴走するから|星天祭《せいてんさい》が終わるまでは、言わないほうがいい。 今、|古坂《こさか》に休まれたら困るし・・・。 ただ、ストーカーのことは家が隣同士だし、気にせず相談してほしかったかな。もちろん、友達としてな」 「・・ごめん。相談できることは相談するね、ありがとう。|大河《たいが》も寝不足ってごまかさないでね」 |大河《たいが》は「気をつけるよ」と苦笑いする。 それから二人で教室に向かいながら他愛のない話をした。