星空の解放日
麦星すばる
図書室
昨日は早く帰ったから、何事にも巻き込まれずに済んだ。
今日も用心しないとなあ。少し寝坊したので、一人で登校している。
そこに|流星《りゅうせい》くんがやってきた。
「|稲荷《いなり》さん!おはようございます!今日放課後図書室でお話でも!」
「え?別にいいけど、なんで図書室なの?」
「それは内緒です!それじゃ!」
いつもと違う|流星《りゅうせい》くん。どこかよそよそしい感じがした。
けど断るわけにもいかないし「放課後に図書室?」
という疑問を抱きながらそのまま教室に入る。
そこに|大河《たいが》がいることはいつもどおりだったけれど、くるみちゃんはやっぱり休みだ。
「おはよう、ほのか。|古坂《こさか》がいないと静かだな。いてもいなくても調子狂うよな」
「・・うん。私が言ったことで傷ついてなきゃいいんだけど」
「ほのか、なんか言ったのか?」
私は|大河《たいが》にくるみちゃんとの一連の流れを説明した。
「そっか、そういうことがあったのか。でもそれくらいで傷つく|古坂《こさか》か?
小学生の頃、いじめがあっても学校来てたじゃないか」
「そうなんだけど・・なんか、いつもと様子が違ったというか。
くるみちゃんって大声で何か言うような子じゃない。
それだけ真剣に考えていたことがあったんだよ。
なんか私と|大河《たいが》が結ばれること、を望んでいたみたいだし・・。
でも私、選ぶなんてまだできないよ」
「選ぶのはほのかなのにな。|古坂《こさか》は外部から口出しすぎなんだよ。
|古坂《こさか》も悪いっちゃ悪い。
・・・あ、俺は別に無理に答えを出せとか、俺を選んでくれとは思ってないから」
「ありがとう、|大河《たいが》」
|大河《たいが》も|湊《みなと》くんも・・私の周りにいるみんなは優しいな。
優しさに甘えてばかりじゃいられないけれど、焦っても仕方ないよね。
そして、授業が始まる。
お勉強会のおかげで前よりはだいぶ理解できるようになってきた。
眠くならなくなってきた。みんなのおかげだ。
今日のお昼はくるみちゃんがいないことを除き、いつものように|大河《たいが》と食べる。
「あのさ、カバン隠されたって本当か?」
「うん。めりの先輩と|湊《みなと》くんが探すの手伝ってくれた」
「・・・そっか、俺早く帰らなきゃよかった。
祭りも一区切りついたし、残ろうと思えば残れたのに。怖い思いさせたよな」
「ううん、|大河《たいが》は悪くないよ。ありがとう」
|大河《たいが》は私の頭に手を伸ばしたけれど途中でやめてしまった。
そして私から目を逸らす。
「|秋月《あきづき》と関わるのはやめたほうがいい」
「どうして?」
「あいつ、普段はお調子者のムードメーカーだけど、裏でなにかしてるかもしれない。
女子だけに敬語で話すのは怪しくないか?」
|大河《たいが》が心配そうに言う。
その言葉に嘘がないことも声色でわかった。
「うん。気をつけるね。ありがとう」
それでも私は約束した以上、図書室に行かなければいけない。
「ありがとう」と返事はしたけれど、私は|流星《りゅうせい》くんに会ってみるつもりだ。
|大河《たいが》とはいつものように話ができた。安心した。
|湊《みなと》くんとは学校では距離をおいているから、今|湊《みなと》くんが何を考えているのかは心配になる。
けれど、信じなきゃ、|湊《みなと》くんに対して失礼だと思って、いつもどおりに過ごすことにした。
午後の授業もあっという間に感じた。
途中でぼんやりしてしまって、|十蟹《とがに》先生に注意されてしまった。
考えていたことは|流星《りゅうせい》くんのこと。
|流星《りゅうせい》くんってあまり話したことがないんだよね。
声だけは大きいから|流星《りゅうせい》くんの周りが盛り上がっていることはわかる。
けれど、どんな人か?はわからない。
それなのにどうして私に近づいてきたんだろう。
話してみなきゃわからないか。
そして放課後のチャイムが鳴り響く。
私が立ち上がると目の前に|流星《りゅうせい》くんがいる。
「|稲荷《いなり》さん、図書室行きましょう!」
「う、うん。カバンに教科書とか入れてからでもいいかな?」
「もちろん!じゃあ待ってます!」
|流星《りゅうせい》くんは目を輝かせながら私のことを見つめる。
そこまで見られると、照れるを越してちょっとだけ怖い。
私は焦りながらカバンに教科書を詰め込む。
その様子を|大河《たいが》が見ているのを感じた。
「お待たせ!じゃあ、行こう」
「はい!」
|流星《りゅうせい》くんの返事は明るくてどこか軽い。|流星《りゅうせい》くんは私を引っ張る。
|流星《りゅうせい》くんの仲間が「大胆!」とか「いっけー!」と言っているのが聞こえた。
そして勢いもあって、あっという間に図書室に着いてしまった。
「|流星《りゅうせい》くん、どうして図書室なんかに・・・?」
「それは・・・俺に星座の力があるみたいなんだけど使い方分からなくて、試したいんだよね」
「え?どんな力?」
「こんな力」
|流星《りゅうせい》くんが私の手を軽く握ると私の意識はどんどん遠のいていく。
目の前にいる|流星《りゅうせい》くんがぼやけていく。
それから・・・なんだっけ。